食器や衣類、身体をキレイにするときに役立つ洗浄のコツ
知ってると時短できる洗浄のポイント
日々の暮らしに欠かせない洗濯・食器洗い・入浴。
なかなか汚れが落ちなかったり、時間が余計にかかったりと
ストレスに感じている方も多いと思います。
ちょっとしたポイントを知っておくと、
今まで面倒に感じていた家事がスムーズに進んで時短できるようになり、
心に余裕ができて、さらに水道水や洗剤の節約にもつながります。
今回は汚れを落としてキレイにすること、
「洗浄」のポイントについて触れてみます。
汚れの分類・見極め
汚れの特徴によって、キレイにする方法が変わってきます。
洗浄作業を始める前に、先ずは対象となる汚れがどんなものなのか、
頭の中で「汚れの分類」をすることが大切です。
汚れの外観は?
固体? 液体?
汚れの水溶性は?
水に溶ける? 油に溶ける?
汚れの成分は?
有機物? 無機物?
汚れの性状は?
酸性? アルカリ性?
汚れは、
汗・垢・ホコリ・土・化粧品・血液・インク・食品・塗料・カビ・雑菌などと、
幅広く様々なものがあります。
さらに、
・外観は、固形なのか液体なのか
・親和性は、親水性なのか親油性なのか
・成分は、有機物なのか無機物なのか
・性状は、酸性なのかアルカリ性なのか
という特徴の差によって分類することができます。
多くの汚れに水溶性がある
大半の汚れを落とすためには「水」が必要です。
衣類に付着した汚れは汗や塩分、土、チリ、ホコリなどで、
これは水に溶ける性質を持っており、
洗剤無しで「水」だけでも これらの汚れを落とすことができます。
「水」そのものが優れた洗浄剤といえます。
洗浄の3要素
一方で、油脂汚れやタンパク質汚れとなると水だけでは落ちません。
油脂やタンパク質の汚れを落とすためには、
石けんや合成洗剤に入っている界面活性剤が必要になってきます。
さらに「水」と「洗剤」の2つの力を効率良く十分に発揮させるためには、
擦ったり・揉んだり・叩いたり・打つけたりする「物理的な力」が必要になってきます。
この物理的な力が加われば、汚れを浮き出させたり、
汚れと水をよく混ぜ合わせる(乳化・分散する)ことが容易になって、
汚れをラクに落とせるようになります。
このような「水」「洗剤」「物理的な力」は、洗浄の3要素と呼ばれています。
特に衣類を洗濯するときには この3要素を上手に発揮させる必要があります。
身体を洗うとき
分類された汚れに応じて使用する洗剤や洗浄方法が変わってくるので、
次に汚れのシーンに分けて代表的な洗浄例を幾つか挙げてみます。
始めに、「身体を洗うとき」の一例を挙げてみます。
まずシャワーで汗などの汚れを溶かして流してしまいます。
はじめから石けんや石けんボディソープを使用すると、
汗の中にあるカルシウム分によって、
石けんが「カルシウム石けん」に変化してしまい、
泡立たなくなり皮脂汚れが落ちづらくなります。
シャワーでサッと汗を流してから石けんを使用すると、
軽く肌をこするだけで皮脂や垢が引き離されつつ乳化されて、
その後のシャワーでキレイに洗い流されます。
衣類を洗うとき
普及が進んできた「ドラム式洗濯機」は、
洗浄の3要素で挙げた「物理的な力」を効果的に活用している家電製品です。
ドラム式洗濯機の回転するドラムの中で衣類が上から下へと落下しており、
この「落下」が「物理的な力」として作用して、
汚れを効果的に落としてくれています。
落下という、昔の「たたき洗い」のような物理力と、
ぬるま湯と洗剤を使っているので、
「洗浄の3要素」をフル活用している洗濯機と言えます。
さらに従来型の洗濯機と比べると、
水や洗剤の使用量も少ないので理想的な洗濯機かもしれません。
ただし、注意したい点があります。
それは一度に洗う衣類の量です。
一度にたくさんの衣類をドラム式洗濯機の中に入れてしまうと、
水の中で衣類があまり回らず、得意としているはずの「物理的な力」が
十分に働かなくなってしまって、汚れ落ちが悪くなることがあります。
「全部まとめて一回で洗ってしまおう」と欲張らずに、
衣類の適量に注意することが大切です。
食器を洗うとき
食器を洗うときも「洗浄の3要素」を意識することが大切です。
お酢や醤油など、水だけで落ちる汚れはなるべく水だけで(または洗剤少なめで)流します。
このとき、水はなるべく「お湯」を使います。
油汚れの一部もお湯で落とせます。
固形脂肪はお湯によって液体化して落ち易くなります。
その後に液体石けんなどの洗剤をスポンジにつけて、
「物理的な力」でこすれば汚れが乳化します。
あとはお湯で濯ぐと完了です。
酢が残っている食器
お酢が残っている食器を洗うときには注意が必要です。
このときに液体石けんを使ってしまうと、
石けんとお酢が反応して石けんが脂肪酸(脂肪状)に変化してしまい、
それが食器に付着してしまって、かえって汚れが酷くなることがあります。
酸性の汚れを石けんで洗うことは避けて下さい。
水垢が付着した食器
ポットの底などが白くなることがあります。
これは水の中にある炭酸カルシウムが固着することで起こる汚れ(水アカ)です。
このような汚れには「クエン酸」が効果的です。
酸性のクエン酸が、アルカリ性の水アカと反応して中和してくれます。
クエン酸液をポットに入れて そのまま浸け置きすると、
固着していた炭酸カルシウムが溶け出して落とすことができます。
茶渋が付着した食器
水筒やマグボトルの底には茶渋汚れが付着しやすいです。
この茶渋汚れはガンコで、石けんや合成洗剤で洗ってもなかなか落ちませんが、
「酸化作用」を活用するとラクに落とすことができます。
ここでは酸素系漂白剤を活用します。
酸素系漂白剤は、炭酸ナトリウムと過酸化水素で造られています。
水に入れて溶かすと酸素を発生させるのですが、
この時に汚れを酸化して分解する作用が働きます。
特に水の温度が高いと効果が高まります。
水筒やマグボトルにお湯と酸素系漂白剤を一緒に入れて数時間放っておきます。(浸け置き)
そうすると茶渋が酸化作用によって分解されてキレイに落とすことができます。
焦付きがある食器
焦付きがあるホットプレートやフライパンを洗浄するは苦労しますが、
このときには重曹を活用するとラクに落とせます。
重曹は、アルカリ性は弱くて、石けんのような界面活性作用もありません。
でも、石けんにはない「研磨力」が備わっていて、
さらに発泡性と吸着力を併せ持っています。
適度に泡立って焦付き汚れに吸着しつつ、
こすっていくと研磨力が発揮されて汚れが落ちていきます。
以上のように、洗浄の3要素を意識しつつ、
汚れの特徴に応じて適切に洗浄すると、
負担を減らして汚れを落とすことができます。
今回は触れなかったお風呂やトイレの汚れ落としのときも、
それぞれの汚れの特徴に応じた適切な洗浄方法があります。
また今回挙げた衣類や食器の洗浄においても 細かく例が分かれます。
これらはまた別の機会でふれてみます。
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