縁起の良い植物
縁起植物
アリドオシやヤブコウジ、カラタチバナ、
クササンゴ、ヤブタチバナとミヤマシキミなどの植物は、
それぞれ別名で、一両・十両・百両・千両・万両・億両と呼ばれています。
その実は、秋から冬にかけて熟して赤く色づきます。
一方で、その葉は寒い冬でも枯れることなく青く生えています。
そのため古来から、これらの青い葉と赤い実を付けた植物は、
「演技の良い植物」として庭などに植えられて、
正月の床飾りや生け花などにも使われてきました。
また正月を迎えると千両と万両、一両(アリドオシ)を並べて、
「千両万両、有り通し」と(語呂合わせで)縁起をかつぎました。
■一両(アリドオシ)
薄暗い林内に生えて、その高さは30〜60cmくらいにまで育ちます。
10月頃に赤い実をつけて、翌春まで残りますが、
千両や万両ほどを実をつけません。
長い棘が特徴で、葉と葉の間から伸びる鋭い棘が、
蟻さえも貫き通すというところから
「アリドオシ」という名付けられたといわれています。
■十両(ヤブコウジ)
山地の木陰に生えて、その高さは10〜30cmくらいまで育ちます。
葉には黄色や白の斑が入ります。
秋から冬にかけて赤い実をつけます。
庭植えや盆栽で利用されるため、栽培品種も多数あります。
また、正月の飾り物としても用いられます。
万葉集では「ヤマタチバナ」の名前で呼ばれました。
■百両(カラタチバナ)
樹林の谷筋などに生えて、その高さは20〜90cmになります。
11月から3月にかけて赤い実をつけます。
万両に似ていますが、葉とか実は万両よりも大きくなります。
百両の呼び名は、江戸時代に葉に斑が入った変わり物の栽培が流行して、
百両単位で取引されたことからついたといわれています。
■千両(クササンゴ)
暖地の林内に生えて、その高さは80cmほどになります。
観賞用に庭木や鉢植えとして栽培されており、切花としても楽しむことができます。
万両の実が下向きにつくのに対して、千両の実は上向きにつきます。
また、果実が黄色くなる「キミノセンリョウ」という品種もあります。
■万両(ヤブタチバナ)
山地の樹陰に生えて、その高さは50cm〜1mくらいにまで育ちます。
11月頃に大きな赤い実をつけて翌年の5月くらいまで残るため、
長い間に渡って楽しむことができます。
江戸時代から実色が異なるものや葉に斑が入ったもの、
縮れたものなど園芸化が進んだ古典園芸植物です。
■億両(ミヤマシキミ)
山地の林内に生えて、その高さは1〜1.5m まで育ちます。
12月〜2月にかけて赤い実をつけます。
枝葉がシキミ(常緑樹の一種)に似ていることからミヤマシキミと名付けられました。
葉は頭痛や目眩などに対する民間薬として利用されています。
庭木や生垣等においても使用されています。