「エアコンから異物が落ちてくる、どうにかしたい」

6月に入って毎日のように夏日を観測しています。

本日6/26、東京の気温は30℃を超えて真夏日に到達しています。

気温の高まりに伴って、各ご家庭でのエアコン使用が始り、

「エアコンの匂いが気にない」「エアコンの汚れが目立つ」など、

様々なエアコンに係るお悩みや問題が顕在化しています。

そんなお悩みや問題を解決する手段として、

エアコンの掃除・洗浄を想起されて、

エアコンクリーニングを予約されるお客様が増えているのですが、

その中で一つ事例を紹介します。

予約時に提示された異物の画像

予約時にお客様とメールで何回かやりとりして、

必要な情報を確認していくのですが、

その際に、「困っていること」を質問すると、

黒い粒状の異物の画像を送られて、

「この黒い粒が気になる、どうにかしたい」というコメントを寄せて頂きました。

画像から、これは汚れが固形化したように見えます。

可能性は低いのですが、エアコン部材の一部が剥がれたものであるかもしれません。

確証を得るには現場にて実物のチェックが必要です。

正体はやはりカビ汚れが粒子化したもの

予約日当日に予定通りに現地へ訪問して、

懸案の黒い粒々をチェックしました。

直接に人の肌に風が当たらないように、風除けのパネルがエアコンに設置されていました。

これを取り外すと、パネルの内側に黒い粒々が転がっていました。

直接に指で摘んでみると、指と指の間で 軽い圧力を与えただけで

粒は崩れてもっと細かく砂状になり、指先も黒く汚れました。

これはエアコン部材の一部ではなくて、

汚れが固形化したものであることがハッキリと分かりました。

もうやることは一つで、

丁寧に隅々までエアコンを洗浄して汚れを取り除いていきます。

しっかりと養生して洗浄に備える

対象となるエアコンは、

ダイキン製の天井埋込型エアコン （機種名F56RCV 2015年製）です。

当社のお客様は一般のご家庭の方々がほとんどで、

お客様のご自宅が作業現場となるのですが、

今回は法人のお客様で、対象もオフィスに設置してあるエアコンです。

エアコン直下やその周囲にはデスクが設置されています。

デスクの上には大切なファイルやPC、モニターがあります。

洗浄水によって濡れないように、ビニールでデスクは覆い、

天井に養生ビニールを貼ってから床まで降ろすことで、

ビニールのカーテンを設けて仕切りを作ります。

これでようやく作業開始です。

エアコン内部に潜むカビ

エアコンを分解して、熱交換器（アルミフィン）を露出させると、

そこにはカビ汚れが筋状に固着していることが分かりました。

熱交換器の隣に在る送風ファンに隙間にもカビ汚れの固形物が潜んでいます。

デスク周りに加えて、さらにエアコン筐体を養生して洗浄作業に挑みます。

合計6回の洗浄作業

この個体は 汚れが程度は重く、通常はバケツ2〜3杯くらいの洗浄で収まるのですが、

今回は その数倍、6回分のバケツの洗浄水が必要になりました。

1回目の洗浄

当社ではエアコンを洗浄するときに、セスキ炭酸ソーダと石鹸を使用しています。

今回は重度の汚れに対応するために炭酸ナトリウム（炭酸ソーダ）を追加することで

pH値を高めて洗浄力を強化して汚れに挑みました。

流れ出たカビ汚れで黒く染まった水が出てきました。

2回目の洗浄

2回目でも まだ黒く染まっています。

まだ洗浄が必要です。

3回目の洗浄

3回目になって、ようやく黒が薄まってきました。

でもまだ 汚れが残っています。

4回目の洗浄

黒い汚れが落ち着いてきて、ゴールが見えてきました。

でもまだ 洗浄が必要です。

5回目の洗浄

5回目で ようやく 汚れが取り除けて、

流れ出た洗浄水も 透明に近づきました。

この後に濯ぎ（すすぎ）工程として最後（6回目）の洗浄を行って、

細かい汚れと洗浄剤の残留を無くして仕上げました。

カビはアレルギー性疾患の原因

今回は特別な事例で、

ご家庭のエアコンではここまで重くなることは稀かもしれません。

オフィス環境であったので、エアコンの運転時間はご家庭のそれよりも長く、

運転時間に比例して汚れの蓄積も進んでしまったために、

その結果「黒い粒が飛び出してきた」という症状に至っていました。

もちろん全ての人がそうではなく、その人の体質に依るのですが、

カビをアレルゲンとしてアレルギー反応が出てしまう人がいます。

花粉症の人が、花粉に反応して目が痒くなったりするように、

カビがアレルゲンとなって、体調悪化に至る場合があります。

今回のような重度の汚れの個体だと、

カビ以外にも様々な雑菌が繁殖しているはずで、

さらにハウスダストや花粉なども

エアコン内部に取り込まれ蓄積している可能性があります。

カビ・雑菌・ホコリ・花粉、

このどれかにアレルゲンとしてヒットしてしまう前に、

定期的なエアコンクリーニングを予防策として講じることはとても有効です。

健康のため、という視点で ご家庭のエアコンの状態をチェックしてみて下さい。