どうして「鯉のぼり」を飾るの?
晩春の風物詩「鯉のぼり」
毎年、5月5日の「端午の節句」が近づいてくると、
各所で「鯉のぼり」が飾られて、穏やかな天候の日には、
鯉が気持ちよさそうに泳いでいる様子が見られます。
鯉のぼりは私たちにとって風物詩となって、
春の終わり、そして夏の到来を感じさせてくれます。
こんなに身近な存在になった鯉のぼりですが、どうして晩春に鯉のぼりを飾るのか?
なぜこの時期なのか、 端午の節句ってそもそも何なのか、皆さんはご存知ですか?
今回は、端午の節句や鯉のぼりについて触れてみます。
節句って何?
節句とは、季節の節目を祝う風習を言います。
その起源は、病気が流行しやすい季節の変わり目に、
健康を願って厄払いをしていたことにありました。
元々は中国から伝わった風習でした。
日本に伝わってからは、
奇数が重なる五節句(1/7, 3/3, 5/5, 7/7, 9/9)が特に重要視され、
穢れを祓う行事が行われてきました。
江戸幕府が公式行事・祝日をして定めたことで、
五節句は一般に普及してました。
どうして5月5日なの?
「端午(たんご)」とは、
「5月の最初の午の日」を意味しています。
旧暦では午の月は5月に該当するので、
元々は5月の最初の午の日を節句としていましたが、
この「午」の文字は、音読みで「ご」と言うので、
「午」→「ご」→「五」と転じて、
奈良時代に「端午の節句」は5月5日に定着しました。
どうして「鯉のぼり」を飾るの?
「鯉のぼり」は、もともとは江戸時代の町人階級から生まれた節句飾りです。
「鯉」には以下のような特徴と伝説があります。
・キレイな清流はもちろんのこと、濁った池や沼でも生息することができる。
・他の魚類と比べると非常に生命力が強い。
・急流をさかのぼることができる。
・龍門という滝を登った鯉が龍に変身して、
天にまで登ったという中国の伝説がある。(いわゆる登竜門)
このような鯉の特徴と伝説にあやかって、
「子供がどんな環境にも耐えて、立派な人になれるように」と、
立身出世を願うものとして、5月5日の端午の節句に飾られるようになりました。
いつまで飾るの?
端午の節句は五節句の一つです。
端午の節句の前が、3月3日の上巳の節句(桃の節句)なので、
3月4日以降のどこかで飾り始めることになりますが、
梅の花や、桜の花という特別な風物詩が控えているので、
実際には、葉桜になる頃に鯉のぼりが飾られることが多いように感じます。
「いつまで飾るの?」については、
5月5日まで、または6月5日まで、のどちらかが多いようです。
端午の節句は、新暦の5月5日に行われることが大半であり、
5月5日が国民の祝日「こどもの日」になっているほど一般化していますが、
少ないながら旧暦や月遅れの6月5日に行う地域もあります。
そのため一般的には5月5日まで、
地域によっては6月5日まで飾られているようです。
端午の節句と菖蒲(しょうぶ)
節句には、それぞれに関わり合いの深い植物があります。
端午の節句には、「古来から邪気を祓う」とされている菖蒲(しょうぶ)が、
様々な形で使われています。
江戸時代には、菖蒲は端午の節句に欠かせない存在になっていました。
菖蒲には爽やかな香りがあり、その茎と葉の形が「刀」に似ていることから、
その香りと刀の力によって「邪気を祓う」縁起の良い植物とされてきました。
端午の節句になると、菖蒲を軒先に魔除けとして吊るしたり、
菖蒲をお風呂に入れる習慣が広まりました。
菖蒲湯(しょうぶ湯)
5月5日になると都内の銭湯では「菖蒲湯(しょうぶ湯)」が企画されて、
多くの人々が、子供のための特別な日に銭湯でしょうぶ湯につかり、
子供の成長を祈りつつ、日本の古き良き伝統を楽しんでいます。
薬用としての菖蒲
また、古来からのいい伝えにあやかった縁起物としてだけでなく、
菖蒲には薬用としての機能が期待されています。
薬効は鎮静・健胃とされて漢方薬に用いられています。
菖蒲湯は、邪気を祓う・厄払いという行事としてだけでなく、
リラックス作用や血行促進、肩こりや腰痛予防など、
薬用湯として期待されています。
以上のように、今回は端午の節句の成り立ちや、
鯉のぼりや菖蒲の由縁について触れてみました。
一方で、鯉のぼりや菖蒲以外に武者人形や鎧兜など、
端午の節句に係る伝統の飾りが他にもあります。
この辺りを次回Blogにて挙げてみます。
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