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パスタのゆで汁、お米のとぎ汁で汚れた食器をキレイにできる??

パスタ,とぎ汁,タンパク質

 

天然の洗剤として活用できる食品

古代から天然由来の洗剤として灰汁(あく)が活用されてきました。

灰汁とは 木々や海藻を燃やして残った灰を水で溶かしたものなのですが、

実は灰汁はアルカリ性であり、汚れを分解する力を持っています。

このことに気づいていた古代の人々が、

汚れ落としの洗浄剤として利用していました。

平安時代には、灰汁以外にも、

お米のとぎ汁や大根の汁が洗剤として利用されたり、

白小豆やサイカチの実などが衣服を洗濯するときに活用されていました。

このような天然の素材や食料が、

洗剤・洗浄剤として活用されてきた経緯があるので、

現代においても「お米のとぎ汁や麺のゆで汁が汚れに効く」

という話を聞くことがあります。

今回は、このような料理から生じた汁物がどうして汚れに効くのか、

その理屈について触れてみます。

 

 

タンパク質が界面活性剤になる

実は、食材に含まれているタンパク質が汚れ落としのキーになっています。

タンパク質の水溶液は起泡性に富んでいます。

これはタンパク質が、吸着作用・分散作用・乳化作用といった、

「界面活性の力」を有しているためです。

例えば牛乳の水分と脂肪分が分離せずに、

混じり合って白い液体のままでいられるのも、

タンパク質が持つ乳化作用のおかげです。

タンパク質も持っている親水基と親油基

タンパク質は親水基のアミノ酸と、

親油基のアミノ酸によって構成されています。

親水基と親油基を併せ持つタンパク質が、

本来は反発し合う水と油を結びつけます。

そのため、普通の洗剤に含まれている界面活性剤と同様に、

タンパク質も、食器の表面に固着している油汚れに「吸着」して、

油汚れと水を結びつけて、水の中へ「分散」し、

水と油が均一に混じり合った「乳化」状態にします。

そのまま水と一緒に油汚れを流してしまう力を備えています。

 

※界面活性剤に詳細については過去postをご覧下さい。

参考: スタッフブログ

 

 

パスタのゆで汁

パスタのゆで汁には、

小麦粉に含まれているタンパク質とデンプン粒が溶け出しています。

タンパク質は天然の界面活性剤として働き、

デンプン粒は水溶性の物質と油性の物質の両方に対して吸着する性質があります。

そのため、デンプン粒は天然の吸着剤として働いて、汚れ落としに役立っています。

 

 

ラーメンのゆで汁

ラーメンのゆで汁には、パスタの時と同じように、

小麦粉のタンパク質とデンプン粒が作用しているのですが、

これらに加えて、さらに、

ラーメン特有の「かんすい」が汚れに効きます。

ラーメンのかんすいは天然のアルカリ剤

「かんすい」の主成分は炭酸ナトリウムや炭酸カリウムです。

これらは洗剤に含まれているアルカリ剤と同じ成分です。

そのため、ラーメンの麺のゆで汁はアルカリ性になり、

洗剤のアルカリ剤と同様に汚れ落としに作用します。

 

 

お米のとぎ汁

お米のとぎ汁には米ぬかの成分が溶け出しています。

米ぬかの成分には、タンパク質やデンプン粒が含まれています。

これらはパスタのゆで汁の時と同じように、

デンプン粒が汚れに吸着し、タンパク質が界面活性剤として作用して、

汚れ落としとして役立ちます。

 

 

ビール

ビールにはアルコールとタンパク質が含まれています。

アルコールには油汚れを溶かす作用があり、

ビールに含まれているタンパク質も上述したように界面活性剤として働きます。

 

 

まとめ

麺類のゆで汁には、タンパク質やデンプン粒が溶け出していて、

これらが天然の界面活性剤や吸着剤として働き、

ビールに含まれているアルコールが油汚れを溶かすことに役立ちます。

ただし、専用の台所用洗剤と比較すると、

その汚れ落としの力は見劣りするものなので、

「ゆで汁だけ」で食器洗いを済ますことは容易ではありません。

最初にゆで汁を活用してサッと洗ったり、ゆで汁に食器を浸け置きしたりして、

その後に台所用洗剤を使って仕上げる、というような組み合わせで

食器洗いに臨むと、効率良く洗浄できつつ、台所用洗剤の節約に繋がりそうです。

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