薬用歯みがき、薬用ハンドソープの「薬用」って何?
「薬用◯◯」ってお薬?
薬用歯みがきや薬用ハンドソープなど「薬用」というワードがある製品をよく見かけます。
「薬が入っていそう」「疾患に効きそう」「刺激が強そう』と、
漠然と想像したり、正確には分からない人は多いのではないでしょうか。
今回は分かり難い「薬用」について触れてみます。
「薬用◯◯」は「医薬部外品」
厚生労働省が管轄している薬機法(かつての薬事法)では規制対象を、
以下の4カテゴリーに分類しています。
医薬品 |
病気の診断、予防、治療に用いられるもの。 |
---|---|
医薬部外品 |
配合された有効成分によって効果が期待できるもので、 人体に対する作用が緩和なもの。 |
化粧品 |
人の身体を清潔にしたり、美しくするために、 身体に塗擦、散布するもので、 人体に対する作用が緩和なもの。 |
医療機器 |
病気の診断、予防、治療に用いられる機械機器.。 |
薬機法という法律に基づいて、
普通のハンドソープや歯みがき剤は「化粧品」カテゴリーに含まれているのですが、
薬用ハンドソープや薬用歯みがき剤は「医薬部外品」カテゴリーに含まれています。
そのために、「薬用◯◯」の製品パッケージには「医薬部外品」と表示されています。
「ハンドソープ」と「薬用ハンドソープ」の違い
ハンドソープは「化粧品」と「医薬部外品」のどちらかのカテゴリーに分類されます。
普通のハンドソープは「化粧品」カテゴリーに分類されており、
肌の保湿や清浄などの効果が期待されています。
一方で薬用ハンドソープは「化粧品」としての期待効果だけでなく、
にきび・肌荒れ等を防止するような効果を認められた「有効成分」が配合されています。
薬用ハンドソープにはこういった「有効成分」が配合されているので、
「化粧品」カテゴリーではなくて、
「医薬部外品」カテゴリーの製品として位置づけられています。
「ハンドソープ」と「薬用ハンドソープ」の大きな違いは、
「有効成分」が配合されているか、いないか、ということが分かります。
※薬機法に基づき厚生労働省から承認を受けた有効な成分を「有効成分」としています。
※厚生労働省HP:「いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて」参照
全成分表示が義務化されていない医薬部外品
「化粧品」カテゴリーの製品は薬機法によって全成分表示が義務づけられていますが、
一方で「医薬部外品」カテゴリーの製品には全成分表示義務がありません。
ただし「医薬部外品」カテゴリーの製品に「指定成分」が配合されている場合は、
その成分を表示しなくてはなりません。
「指定成分」とは、通常は問題がなくても、
人によってはアレルギーなどの症状を起こす可能性があり、
表示して注意を促さなければならないものです。
全成分表示はしていない薬用製品が販売されることが懸念されます。
特定の成分に対してアレルギー等の皮膚トラブルのある方にとっては、
全成分表示がないとリスク排除できなくて困ります。
最近では法律による全成分表示義務はなくとも、
自主的に全成分表示をしているメーカーが増えているので、
そのような消費者に寄り添った良心的なメーカーの製品であれば、
パッケージの表示で全成分を確認できるので、
皮膚トラブルなどの疾患を未然に防ぐことができます。
薬用歯みがき マスデントケア
ゼリア新薬工業の「薬用歯みがき マスデントケア」を一例として挙げてみます。
「歯周病や歯ぐきからの出血を防ぐ」という効果が期待される薬用歯みがきです。
パッケージの表記内容を見ると、以下のような情報が確認できます。
効能・効果 |
歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防、 出血を防ぐ、口臭の防止、むし歯を防ぐ、 歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にする。 |
ご使用法 |
適量を歯ブラシにとり、 歯及び歯ぐきをブラッシングしてください。 |
成分 | 清掃剤…炭酸カルシウム、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸 湿潤剤…濃グリセリン、ソルビッ液 溶剤…エタノール 粘度調整剤…キサンタンガム、カラギーナン 着香剤…香料 pH調整剤…クエン酸ナトリウム 着色剤…酸化チタン 薬用成分…トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム 清浄剤…マスティックエッセンシャルオイル |
薬用成分として書いてあるグリチルリチン酸二カリウムが「有効成分」です。
グリチルリチン酸二カリウムは抗炎症成分で、のど飴などにも使われています。
止血剤・抗炎症剤として出血の予防・治療に用いられるトラネキサム酸も表記されています。
殺菌剤や合成甘味料、防腐剤などは入っていないので、
「人にやさしい」に寄せている製品だと思います。
ただし、前述したとおりですが使う人の体質によっては
どれかの成分が身体と合わない可能性はゼロではないです。
「薬用◯◯」の製品を購入するときには、含有している成分をチェックして、
自分の体質との相性や、アレルギー反応の可能性を探って下さい。
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